2021/07/21 18:55


箱から出したとき、
その発色の美しさに思わず声が漏れた
こちらの湯吞。

「香蘭社」という、
ルーツを江戸時代にもつ
有田焼メーカーの作品です。

実はこの香蘭社の器、
中古市場でも価値が高く、
同じようなお値段の器を販売している
他メーカーの2~3倍くらいの
お値段のものが多くあります。
(相場は変動するので、
あくまでわたし調べですが・・・)

それもそのはず、
香蘭社は宮内庁御用品なども
手掛けているのです!

もちろん、
他のメーカーの作品もとっても素敵で、
宮内庁に献上しているメーカーも
多くあると思います。
わたしが思う、
香蘭社の他と異なる部分と言ったら、
やはりその歴史だと思います。




有田焼をはじめとする焼き物は、
民衆の暮らしレベルが上がり、
生活自体を楽しめる人が増えた
江戸時代に栄えました。

香蘭社の前身である作り手、
初代 深川栄左衛門も
その頃に磁器の製造を始めたとか。

その後、明治維新が起こり、
有田焼はそれまでの藩から受けていた
保護・支援を失ったそうです。
存続の危機・・・。

そんな中で、有田焼の再興にむけ
リーダー的な役割を果たしたのが、
八代 深川栄左衛門だそう。

その方が、
当時腕利きの陶工や絵付師などをまとめ
つくった結社が『香蘭社』なのです。


最近、別の仕事で伝統工芸の職人さんから
お話を聞く機会があったのですが、
平和な現代でも、
後継者問題や保守的な姿勢など
様々な障壁があり、
伝統工芸を続けていくのは
すごく大変なのだそう。

きっと、明治維新の激動の中では
もっとたくさんの苦労があったことでしょう…

壮大なストーリーが背景にある香蘭社の器。
ただ綺麗なだけじゃないんだな…と、
見ていて惚れ惚れしてしまいます。


それにしても香蘭社のこのストーリー、
ドラマとかにしたら面白そうですよね。

主役は誰ですかね、
大沢たかおですかね。

ちなみに八代深川栄左衛門さんの顔写真を拝見したら、
カミナリのツッコミの方をダンディにして
ひげを生やした感じでした。