2021/08/11 11:50
暑い日が続きますが、みなさま体調は大丈夫でしょうか。
本日は、暑い日常を忘れさせてくれるような優美なお品、
英国名窯「AYNSLEY」のカップ&ソーサーのお話を少々。
「AYNSLEY(エインズレイ)」は1775年設立の
超老舗メーカーです。
アンティーク食器を集めている方にとっては「定番」ともいえる、
押さえておきたいメーカーなのではないでしょうか。
初代ジョン・エインズレイ氏は陶磁器に魅了され、
イギリスのストーク・オン・トレントの地に窯を開きました。
この地は陶器産業で栄えていて、
石炭や粘土質の土など、陶器に良い資源が豊富だったそうです。
ロイヤルファミリーにも愛され、
女王のために肖像画が描かれたカップ&ソーサーを製作するなど
その功績は数知れず。
栄光ある歴史のなかでも、私が特に惹かれたのは、
エインズレイが注目されはじめたころのお話です。
1860年ごろ、ジョン・エインズレイ二世が新工場を建築したそうなのですが、
建物の美しさはもちろん、
広い工房に大きな窓が設置され、生産の面からみても効率的な空間で
職人さんたちにとても快適な環境を提供したそうです。
労働者の権利が軽視されていた産業革命直後のイギリスで
「働いてくれる人を大切に」という精神と効率的な生産を両立したエインズレイ氏、
とても魅力ある人に思えますね。
事実、人望を集め、彼の功績は地域の人々からも称えられるようになり
その後多くの作品をロイヤルファミリーへ献上します。

手作業が多くお値段も高価なものが多いのですが、
それも「作品も、働いてくれるひとも大切にしたい」という
気持ちからきているように感じます。
ちなみに「Bone china」とは、磁器の種類のひとつです。
「骨灰磁器」ともいわれ、
「Bone」はその名の通り「骨」、
「China」は当時中国磁器が多用されたことからきているそうです。
「Fine Bone China」は骨粉の配合量が50%以上あり、
ひときわ美しく丈夫な器体が実現されています。
細かく美しい絵付けと器体の丈夫さ、
働く人を大切にしてきた歴史など、
たくさんの魅力が詰まったカップ&ソーサー。
背筋を伸ばして使いたくなりますね。